「真夜中の看守長 ルナーミッション」 ムーンライト誕生悲話

人権派弁護士の悲劇



  事件から三日後、川上房子、美佐子、真菜たちの告別式が行われようとしていた。本来、喪主であるべき川上賢一弁護士の姿はなかった。 ( 中 略 )
 

「義兄さんは、俺や陽介のいうことをまったく受けつけなかった。その結果がこのザマだ。義兄さんに限らず、人権屋たちや裁判官は甘いんだよ」
 

「今はそんなこと言わないでよ。かわいそうでしょう。それにしても、犯人の野村という男、絶対に許せないわ。美佐子ちゃんを襲って殺し、まだ一歳の真菜ちゃんまで殺すなんて、人間じゃない」
 

「俺は、毎日そんな連中を相手にしている。だから、奴らの本性がわかるんだよ。これからも、どこかで同じような被害者がでてしまうのだ」
 

「それがわかっていながら、なんとかならないの。もっと刑を重くするとか」
 

「無理だ。この国では、人間じゃない奴らの更生だの人権だの、刑を重く変えても犯罪は減らない、社会を変えるのが先決だの、キレイごとばかり言っている。人権屋たちが、猛烈に刑法の厳罰化に反対しているからだ。死刑廃止まで言いだしている」
 

真夜中の看守長 ルナーミッション」 ムーンライト誕生悲話 (90~165ページ) より


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コメント 1

カスタマーレビュー

これって、暴露本ですかねえ。私は死刑制度反対だったんですが、読後、「死刑もありかな」と考えてしまいました。
実際にあった事件でしょう。最初読んだ時、リアル過ぎて「うわあっ!」て感じてしまいました。被害者の方は気の毒すぎて。
刑法の矛盾点がよくわかる本でした。著者は「元刑務官」でしたね。刑務所がこんなに恵まれていたのですか。明日から税金払うのやめようかな。
主人公のような人たちがいたら、本当に犯罪がへるかも。
そういえば「尼崎事件」の主犯が不信な自殺しましたが、まさか、この本のストーリーの模倣犯かな。
by カスタマーレビュー (2014-08-13 12:44) 

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